TAKAGI KAORU

展示作品『日々の景色は物語でできている』

《設置場所》

抜里駅 天野邸(静岡県島田市川根町抜里210−1

《作品プラン》

 私達が日々見ている風景には、多様な物語が潜んでいる。実際には数多の物語が目の前で起きてはいても、そのことに気づかず素通りしてしまうことが多い。しかし、自身のここまで歩んできた道のりを思い描くように目の前にある景色を見てやれば、それは一瞬にして小説よりもはるかに面白い物語となって、私達をあらゆる世界にいざなってくれる。このように世界を媒介してくれるものを作家は「内なる器」と呼んでいる。

 作品の会場は、抜里集落のかつて左官屋を営んでいたお宅。大井川の中流に位置し、近景には茶畑と家、そしてさまざまな生業の加工場。そして遠景には雄大な山々がみえる。この場所とその住人にどんな物語があったのかを私は想像する。時が止まったかのような空間に、粘土、水引を使った造形作品を配置し、そこに潜んでいる物語を描く。ここを訪れる方にも、この場所に流れる時間や作品を手掛かりに、自身の「内なる器」を見出し、それぞれの物語を描いてもらいたい。

作品イメージ

TAKAGI KAORU

 粘土による器のほか、水引を使った立体造形をつくる。器とは有形無形のものを湛える(たたえる)ことで、ものの変化や潜在的な物語を捉えることができる道具になると考えている。したがって食器などにとどまらず、さまざまなもの(ときには家屋や人の内面)のなかに器を見出す。自作の磁器を使ったパフォーマンスは、道具と環境の相互作用により、参加者が自身の内なる器の存在に気づく機会になっている。自作の器で食事を提供することで街中にさまざまな関係性と物語をうむスペース「ひととき」を主宰。器の可能性を追求し続ける作家。

《CV》

1993陶芸家 板橋廣美に師事
1994-1995Bゼミ
1999ブランド「Wo shi Ribenren」を立ち上げる
2011活動スペース「ひととき」をオープン

《展覧会等》

2021「作家」をつくってみませんか?/国立国際美術館アクティビティパレット
2018粘土と語って遊ぼう ー 見えない「内側」のかたちを探る ー/目黒区美術館
2016身も蓋もある/nowherer/神奈川県鎌倉市
2015自身のお道具をお持ちですか?/matohu/東京都渋谷区神宮前

《その他》

著書 「皿と血」(2018年)

《過去作品》