展示作品『島田鳶鴉屋(しまだとびがらすや)』
《設置場所》
●川越し街道エリア 仲間の宿
(静岡県島田市河原2-20-17)
《作品プラン》
江戸時代、東海道の大井川は幕府によって架橋を認められず、多くの川越し人足によって旅人は対岸へ運ばれた。大井川が増水し川止めされると両岸の藤枝、島田、金谷、日坂には旅人が滞留し、宿場は大変な賑わいだった。
懸命に水流の中を往復した川越し人足たちは、まるで川底を這う沢蟹のようであり、大井川を挟んだ東海道を行き交う旅人は、河原の上空で孤独に弧を描くトンビか、あるいは群れなして飛び惑うカラスのようである。
作家はかつてそこにあったかもしれない想像上の旅籠を制作する。
<プレイベント作品>
『島田鳶鴉屋プロローグ』(映像作品)
島田鳶鴉屋制作のために、東海道丸子宿から日坂宿までの間にある陣屋跡や旅籠などを巡り、大井川の川越しがどのようなものだったのか、小山真徳の目線で調査した記録映像作品である。
『酒楼閣(しゅろうかく)』(参加型遊戯)
川止めによって宿場や川越しの番小屋でとどまっていた旅人や人足たちは、川明けまでの膨大な時間を、酒、博打、遊廓へとさまざまなかたちで過ごしていたことだろう。
小山真徳が制作した酒楼閣という遊戯は、その膨大な時間を埋めるのにうってつけの遊戯だったかもしれない。
酒楼閣は2人以上で対戦する積み上げ型のバランスゲームで、ルーレットを回して出た絵柄(徳利、木箱、鶴)のものを台の上に置き積み上げていく。最終的に積み上げたものを崩してしまった人の負けで勝敗が決まる。
小山 真德 (Koyama Masayoshi)
1981年 愛知県生まれ。東京藝術大学卒。
「よそ者」として訪れた土地において普段見出すことのない置き去りにされたものたちに、深い共感を寄せる。声高ではないが、古くから土地に存在する信仰と祝祭の気配を縫いつつ、うらぶれた場所にそれら作品は出現する。
《参加作品展》
2018 | 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ |
2017 | 奥能登国際芸術祭 |
2015 | 中之条ビエンナーレ |
2014 | 第17回岡本太郎現代芸術賞展 |
2013 | 瀬戸内国際芸術祭 |